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物流センター立ち上げ時に気を付けるポイントとは?必要な視点や注意点などについて解説します。

この記事では「物流センターの立ち上げ方」について詳しくご紹介致します。

「最近在庫の規模感が大きくなってきたから物流センターを立ち上げたいけど何から始めていいか分からない」
「物流センター設計時に注意すべきポイントは?」
「物流センター完成までの流れを教えて欲しい」
という方のために物流コンサルティング会社の現役COOが物流センター設計・立ち上げ〜完成について、徹底解説致します。
物流センターを新しく立ち上げ・設計しようと考えているものの
「物流センターの設計・立ち上げ以前に何をすればいいか全く分からない」
という方向けに記載していきます。
コロナ禍での在宅時間の増加から、ネットショッピングなどのオンラインでの購買活動は大幅に増えました。それに伴い、物流にも更なるキャパシティの増加と、効率化が求められるようになりました。
物流量の増加、配送の効率化を図るにあたって、新たに物流センターの設置を検討する荷主の方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。
以下では、物流センターの新設の際に必要となる知識を順を追ってご説明していきます。

物流センターの種類

一口に物流センターと言っても、目的や扱う範囲によって様々な形態があります。それぞれの種類を知ることで、どの規模や種類の物流センターを導入することが最も自社の目的に適うのかを知ることができるでしょう。
以下では一般的な分類をもとに、それぞれの種類を確認していきましょう。

DC(ディストリビューション・センター/Distribution Center)

DC(ディストリビューション・センター/Distribution Center)

まず初めはDCです。DCは在庫の入荷から、保管・管理、仕分け、小売店や顧客への出荷まで、全ての工程を一貫して行う物流センターの形態を指します。在庫を常時ストックしているため需要に応じて迅速な対応を行うことが可能ですが、保管場所の確保の分、センターの規模自体も比較的大きくなる傾向があります。
TC(トランスファー・センター/Transfer Center)

TC(トランスファー・センター/Transfer Center)

トランスファーの名の通り、運送に主軸が置かれた物流センターのことを指します。DCとは異なり、保管機能は持ちません。保管場所を確保する必要がない分、小規模化することは可能ですが、スペースにはあまり余裕がないため入荷した荷物を迅速に振り分け出荷する能力が求められます。
PDC(プロセス・ディストリビューション・センター/Process Distribution Center)

PDC(プロセス・ディストリビューション・センター/Process Distribution Center)

DCの保管・出荷機能に加え、商品自体に加工を施す機能も持ち合わせた物流センターを指します。一般的に日本語では流通加工・在庫型センターと呼ばれ、機械の組み立てや、食品の加工などの工程も担う物流センターです。工場のような機能も一部に含むため、設備や保管体制の点でも高い機能が求められることが多いと言えます。
FC(フルフィルメント・センター/Fulfillment Center)

FC(フルフィルメント・センター/Fulfillment Center)

主にネットショッピングなどの対応に特化した物流センターを指します。在庫の管理や出荷のみならず、返品などの顧客対応までをも一貫して行うことが特徴です。小売店への出荷に比べ、小口発注かつ出荷件数自体も多いため、一般的に他の形態の物流センターに比べピッキング等の作業工程が多くなる傾向にあり、最先端のテクノロジーを完備した施設も多くあります。
デポ(Depot)

デポ(Depot)

他の形態の物流センターのように大規模なものではなく、TCやDCから発送された荷物を一時的に引き受け、顧客の元へと届ける中継地点のような施設のことを指します。大型の物流センターの支店のようなものとも言えるでしょう。より顧客に近い場所で、エンドユーザーへの配達に特化しているという特徴があります。
いかがでしたでしょうか。
求める物流センターの形態を具体的に検討する役には立ちましたか。
ここからは実際の立ち上げ時の流れについて見ていきましょう。

物流センター立ち上げ時に必要な視点

この章では実際の始動に先駆け、事前に確認しておくべき事項を順に検討していきましょう。
プロジェクトチームの立ち上げ

プロジェクトチームの立ち上げ

多くの事業と同様、プロジェクトチームの立ち上げをまずは進めていきましょう。
物流業務に詳しい人物がいる社内環境であれば話は早いのですが、やはり多くの場合、物流センターの立ち上げに詳しく業務を束ねられる人材はいないことが大半でしょう。ましてや3PL(3rd Party Logistics)のように、物流業務を外部に委託している企業では、自社の在庫の流れ自体をしっかりと把握できている人自体がいない場合もあるのではないでしょうか。
自社内で適任の担当者を探すことに加え、外部の物流コンサルタントに相談を行うのも一つの手段となってきます。
物流センターの役割・タイプ・構造・作業等の共有

物流センターの役割・タイプ・構造・作業等の共有

物流センターの立ち上げにおいても、他の新規事業を実施する際と同様に、具体的な認識の共有が欠かせません。「どんな顧客」に、「どんなルート」で、「どの程度のコストをかけて」届けるのか。スケジュールを含めた事前の綿密な計画の共有が、後々の方向性のズレを防ぐためにもとても大切になります。
新物流センターのシステム計画の進め方

新物流センターのシステム計画の進め方

今日における物流業は人力のみで担うわけではありません。要所々々では人の手による細かい作業が必要になることもありますが、基本的にはロボットを使用することが一般的となっています。そのため個々のロボットやトラックとの連携を管理するシステムを検討・構築することも必須の工程と言えるでしょう。

物流センター立ち上げまでの流れ

続いて実際の立ち上げに際しての流れを確認していきましょう。
基本計画(マスタープランの策定)

基本計画(マスタープランの策定)

まず何よりも重要になるのが基本計画の設定と認識の共有です。一番の土台となる基本計画の認識にズレがあると、後々の工程にも支障をきたす恐れがあるためです。 現在の自社内の物の流れを一から洗い出し、新たに立ち上げる物流センターに求める機能を明確にしましょう。
立地場所の検討

立地場所の検討

立地場所には大きく分けて、生産立地型と消費立地型の2種類があります。 生産立地型は工場などに比較的近いエリアに建てられた物流センターを指し、配送コストを抑える点において有利に働きます。ただし拠点から小売店までの配送には時間を要してしまうため、アパレルなどの鮮度は求められない業態に向いていると言えます。 一方、消費立地型は小売店やエンドユーザーに近い場所に建てられた物流センターを指します。生鮮食品などのリードタイムを短くすることが求められる業態では、こちらが選択されることが多い傾向にあります。 リードタイムと配送コストを掛け合わせ、最適解の場所に物流センターを設置する必要があります。
運用設計データ作成

運用設計データ作成

続いて、運用にあたっての設計データの収集・作成が必要になります。
上記で記載した物流センターの設置場所や出荷能力の検討に加え、エンドユーザーの分布を調べ、最も効率的な配送を行える経路を組み立てていくことが欠かせません。
物流システム基本設計〜システム選定

物流システム基本設計〜システム選定

物流の経路や計画が決定したら、次はそれを管理するシステムの選定を行います。 上記でもお伝えしたように物流は個々で独立して行うものではありません。物流センターに届くまでの流れ、センター内での効率的な配送準備の進行、出荷後も配送先に届くまでにいかに無駄のない経路を構築できるかで顧客の満足度や利益率は大きく変わってきます。 倉庫内の各々のマテハンを一括で管理し、シームレスな物流を実現するためのシステムがWMS(Warehouse Management System 倉庫管理システム)です。自社に最も適したシステムが採用できるよう、慎重に検討しましょう。
ブロックレイアウト

ブロックレイアウト

物流センター内のレイアウトも重視しましょう。現状の設備におけるものの流れからベストの配置を組み立てることも欠かせませんが、今後、仕入れ体制や取り扱い物品の変更が生じた際にも柔軟に対応できるように設計することも大切なポイントです。
物流センター建設

物流センター建設

上記の準備/計画の構築が整ったら、いよいよ建設の開始です。 作業が進む間に、それまで使っていた保管施設から新しい施設へスムーズに移行できるよう準備を進めておきましょう。
現地テスト・教育

現地テスト・教育

センターが完成したら、実際の施設を利用してのテストと教育を始めていきましょう。
施設の完成を待つまでの間を有効活用し教育マニュアルやチェック事項の作成などを進めておくと、実際に稼働を開始させるまでの準備期間を短縮できるのでより効率的です。
本稼働

本稼働

全ての準備が整いました。いよいよ新しい物流センターでの業務の開始です。
どれだけ準備をしていても、稼働直後は予想もつかないトラブルも起こるもの。一つ一つ冷静に対処・改善を行い、経験値を積み上げていきましょう。

物流センター立ち上げ準備での注意点

続いて、上記で見てきたそれぞれの工程における注意点を確認していきましょう。
マスタープラン策定の際の注意点

マスタープラン策定の際の注意点

マスタープラン策定においては長い目で見た視点がとても大切になります。綿密に現状を把握した上で、多少のゆとりのある計画を立てるようにしましょう。
どれだけ正確に現状を把握し計画を立てても、物量の変化やユーザーのニーズの移り変わりは避けられません。そうした事態に直面した際、取り扱い量や物流ルートの変更を迫られることがあります。現状ではベストと思える物流センターであっても、変化に対応できなくては長い目で見ると最適解とは言えません。
運用設計の際の注意点

運用設計の際の注意点

一方、運用設計に関しては、出荷のキャパシティの設定や、想定外の事態が発生した際のバックアップ体制の構築など、運用設計には綿密な計画の策定が欠かせません。マスタープランには、長いスパンで見た場合の変化にも対応できるよう多少のゆとりは必要ですが、運用設計に関してはベストなパフォーマンスが発揮できるよう、その都度綿密な計画を繰り返し立てていくことが欠かせません。
まずは運用のスタート時と、その後の数ヶ月に照準を絞って計画を練りましょう。
システム選定の際の注意点

システム選定の際の注意点

新規で物流センターを立ち上げ運用を行う際、トラブルが生じやすいのは機器・機材などのハード面よりも、運用システムなどのソフト面です。ひとたびシステム上の問題が起きると、工程全体がストップしてしまったりと大きな損失を生む可能性があるため、実際の運用が始まる前に十分なシミュレーション期間を設けておきましょう。
現地テスト・教育の際の注意点

現地テスト・教育の際の注意点

実際の施設が設置されるまでに、数々のシミュレーションを行ってきたことでしょう。このフェーズでは今までの理論上の計画・課題と、現場での実際の運用のギャップを減らすことが必要になります。人員の確保や教育の習熟速度・レベルといった、事前の計画通りには進みにくい側面もあるので、ある程度長めの期間を確保し、万全の体制が整ってから本格稼働に移れるようにしましょう。

まとめ:まずは物流コンサルのプロに相談しよう

今回は物流センターの設計・立ち上げについて解説いたしましたが、物流の知識がない状態で物流センターを立ち上げようとすると時間も労力も費用も想像以上にかかります。失敗の種を未然に摘むためにも、プロへ相談することも一つの有効なアプローチです。
シーオス株式会社は物流センターの新規立ち上げ・設計支援〜システムの導入までワンストップで対応し、貴社へのベスト解決策をご提案いたします。
無料相談も24時間受け付けておりますので、是非一度お問い合わせください。

ロジスティクス大賞の受賞で裏付けられる
技術とノウハウ

シーオスは、公益社団法人 日本ロジスティクスシステム協会が主催する「 ロジスティクス大賞」を2度受賞しています。