Column

AMR(自律走行搬送ロボット)とは?AGVとの違いや導入事例について解説します。

「AMRという言葉を聞いたことはあるけど詳しく分からない」
「AGVとの違いがわからない」
「AMR導入のメリットについてなんとなくしかわからない」
「導入するAMRにどのような機能があれば良いかがわからない」
という方のために物流会社の現役COOがAMRについて、徹底解説致します。
「AMRを導入するとどのようなメリット・デメリットがあるのか知りたい」
「AMRはどの業界に向いているのか知りたい」
という方向けに記載していきます。

AMR(自律走行搬送ロボット)とは?

そもそもAMR(Autonomous Mobile Robot)とは自律走行搬送ロボット・協働型搬送ロボットなどと呼ばれることが多く、荷物の搬送やラック自体の搬送などを自動で行ってくれるロボットです。
「自動で搬送する」と言葉にすると簡単ですが、実際には、

  1. ①搬送エリアの地図を保持する
  2. ②地図をもとに搬送物のある場所に行く
  3. ③搬送物を識別する
  4. ④搬送物を把持する
  5. ⑤地図をもとに搬送物を搬送場所へ移動する
  6. ⑥搬送物を搬送場所に置く
という様々な工程、動作を自動で行えることが必要となります。
また、「搬送物を移動する」際には、加速や減速、曲率に合わせてカーブするなど、自分で状況を判断し、自動で行えることが必要となります。
その為には、搬送エリアの地図、周りの環境を検知するセンサー、センシングした情報に基づき現在地を解析するソフトウェア機能、障害を検知した場合の動作を制御するソフトウェア機能等、多種多様な機能が実装されており、これにより、AMR自身で周囲の状況を把握し周囲の環境地図を作成、自分の位置を推定して自動で経路を探索、目的地まで走行することが可能となります。
AMR自身で周りの環境を掌握しますので、AGV(Automatic Guided Vehicle)のように磁気テープなどの物理的ガイドは必要がなく、一台の搬送ロボットで複数の場所へ搬送させたい、時間によって色々な場所に搬送したい、その時々に応じて搬送ルートを変更したい等の搬送作業に対する要求に柔軟に応えることが可能です。
また、障害物が近くにあると自動で回避し作業者の邪魔をすることなく目的地まで搬送します。

AGV(無人搬送車)とAMR(自律走行搬送ロボット)の違い

AMRについての説明をする際に比較対象に出されるのがAGVです。
表記も機能も似ていることから混同してしまう方が多くいらっしゃいます。
下記では具体的にAGVの説明をしつつ、AMRの違いをご説明致します。

AGVとは

AGV(Automatic Guided Vehicle)も自動で荷物を運ぶ無人運送車です。
では何が違うのかを下記でご説明致します。

それぞれの違いについて

AMRとAGVの違いは大きく分けて2つ存在します。
  1. ①走行方法
  2. ②障害物への対応
  3. ③操作性
それぞれ詳しくご説明致します。
走行方法
違い①

走行方法

AMRは磁気テープなどの物理的ガイドがなくても自動で感知して目的地まで荷物を運ぶことが可能です。またソフトウェアと各種センサーの情報により自立した走行を行うことが可能な為、複数の走行ルート・搬送元・搬送先の設定やその切り替えを自動で実施したり、ボタン一つで組み替えたりと柔軟性に富みます。
また、専用の通路も必要なく、人やその他のものが通る通路を共用出来ます。
AGVは誘導体(磁気テープや二次元コードなど)に沿って走行するため、一定の走行ルートで走ることとなります。
実運用に際しては磁気テープの場合、床面に敷設しますので結果的にAGV専用の通路を設けることが多いです。
以上の通り、AGVは行動範囲の制限がされること、専用の通路を設けることが多いため、設計された導線に沿って忠実に搬送することを得意とします。
障害物への対応
違い②

障害物への対応

AMRは光学センサーや超音波センサー赤外線センサー等のセンサーにより自動で障害物を感知し停止。保持している地図に基づいて、迂回して目的地まで荷物を運ぶことが可能ですが、AGVは障害物を検知すると停止したままになってしまいます。
操作性
違い③

操作性

AMRは搬送エリアの地図の作成にはロボットを使用しマッピングを行います。この機能により地図の作成は容易に行うことが可能です。
一方でAGVは磁気テープや搬送ルート上へのルート判別バーコードの設置、またセットアップや操作に関しては各種データの設定などが存在し、煩雑な作業が発生します。
また、実運用に際しては、認定されたトレーナーや教育を受けた専門性の高いエンジニアが必要となります。

AMR導入のメリット

AMRを導入することで今まで苦労していた搬送業務を大幅に改善することが可能です。 具体的なメリットは以下の通りです。

  1. ①自動的に目的地まで荷物を運んでもらうことが可能
  2. ②人員不足と属人性からの解放
  3. ③短時間で簡単に導入可能
  4. ④搬送エリアのレイアウトを柔軟に変更可能
自動で目的地まで荷物を運んでもらうことが可能
メリット①

自動で目的地まで荷物を運んでもらうことが可能

重たい荷物を自動で運んでもらうことが可能です。人間が見守って指示する必要もありません。

ロボットに自動で荷物を運んでもらうことで、
  • ・従業員の負担軽減
  • ・人件費の削減
に繋がります。
人員不足と属人性からの解放
メリット②

人員不足と属人性からの解放

フォークリフトや台車等を使用した搬送作業をAMRで行うことでフォークリフトオペレーター(フォークリフトの操縦者)は搬送作業に時間を取られることがなくなります。
結果として、人間でしか行えないような複雑な業務や創造的な業務に集中することが可能になり、業務効率が向上します。
また、フォークリフトに載せて運ぶような重たい荷物もAMRが自動搬送することにより、フォークリフトオペレーターがいなくても搬送業務を完結させることが可能です。
短時間で簡単に導入可能
メリット③

短時間で簡単に導入可能

AGVのように誘導体(磁気テープや二次元コードなど)を設置せずに導入可能であり、
セットアップや操作に関しても簡単であるため、時間をかけずに導入することが可能です。
倉庫レイアウトを柔軟に変更可能
メリット④

倉庫レイアウトを柔軟に変更可能

誘導体(磁気テープや二次元コードなど)を設置する必要がなく、ロボット専用の通路を設ける必要もないため、搬送エリアにおけるレイアウトをより自由に考えることが可能です。
施設のレイアウトを構築しきってしまい、現在のレイアウトからなるべく変更をしたくない方は多くいらっしゃると思います。でも「搬送を自動化したい!」といった場合においてはAMRが最適です。

AMR導入のデメリットと注意点

コストがかかる
デメリット①

コストがかかる

AMRは以下のような手順で導入します。
  1. (1)現場状況や搬送物等のヒアリング
  2. (2)最適なロボットの選定
  3. (3)トップモジュールの設計
  4. (4)搬送ロボットシステムの初期設定
  5. (5)現地納入、マップ作成、走行ジョブ作成、走行調整
  6. (6)ロボット・システム稼働
磁気テープの敷設や専用通路の確保等が必要となるAGVと比較すると短期導入が可能ですが、AMRも導入までに時間と費用が必要となります。
またAMRというロボット自体の費用も必要となります。
費用感としては従業員を雇うのと同等の価格というところでしょうか。
ロボットの導入は、結果として属人性が排除されること、長時間休まずに働いてくれること、人に関する採用・人事・総務等の管理事務が不要となることで目に見えにくい人件費がゼロとなることの多数のメリットがあります。
ロボットが稼働できるスペースを最低限確保しなければならない
デメリット②

ロボットが稼働できるスペースを最低限確保しなければならない

AMRにおいてもロボットの幅+数センチの通路幅は用意する必要があります。
ただ、どのような施設においても搬送エリアの通路は搬送物以上の幅を有していますので、特に狭い所や曲がり角、交差点等の幅を少し広めに確保する等の対応で完了します。
また、通路に荷物が散乱していたり、通路端に荷物がはみ出ていたりするとロボットが何度も止まる、迂回するような動きをする等が発生し、搬送に通常よりも多くの時間を費やしてしまうことになります。
通路はきちんと整理整頓しておく必要があります。

AMRはどんな業界で使われているのか?

①病院・空港

①病院・空港

人が運ばなくても問題ないもの(備品や機器など)をAMRに任せることで人の手が空き、
  • ・患者様・お客様へのより手厚いケア
  • ・身体的疲労の軽減
  • ・事務作業等の頭脳労働への集中
などメリットが生まれるため広く導入されております。 また、クリーニング業務の際のシーツ運びなどにも使用され、人間への負担の軽減に貢献しております。
②物流倉庫(主に製造業など)

②物流倉庫(主に製造業など)

一般的な使用方法です。AMRやAGVに荷物を運んでもらうことで人間はピッキング、検品、機械の操作等に集中することができ、業務の効率化をすすめることが可能です。
倉庫によっては365日人の手で行わなければいけなかった搬送業務が少なくなったことで、従業員の環境改善に繋がり、離職率の低下防止策になっております。
また、2024年問題解決に向けて業務時間の短縮などに有効な対策です。

シーオス株式会社のAMR導入事例

①ホテル・病院

①ホテル・病院

ホテル・病院のリネン業務の搬送代替として導入されています。
ホテルや病院でのリネン(クリーニング)業務について、リネン室と客室(病室)、回収したリネンを業者車両に乗せるバース間における搬送を、AMR(LogilerMove®※シーオスのAMR製品)が代替することにより、従業員は本来の仕事であるベッドメーキング等の付加価値の高い作業に時間を割くことが可能になります。
ルームサービスやケータリング、アメニティの補充等のサービスでも利用可能です。
②商業施設

②商業施設

商業施設開店前の品出し作業のサポートとして導入されています。
大型ショッピングセンターなどでは、夜間の間にバックヤードから棚前まで製品のカゴ車を運んでおくなど、人がおこなう開店前の品出し作業をサポートする形で導入されます。
夜間施設のわずかな照明でもロボットは問題なく搬送を完了させることが可能になり、夜間光熱費の抑制、人件費の削減・従業員の安全性の確保を実現します。
営業中の商品補充等の作業でもご利用が可能です。

シーオス株式会社のAMR(Logiler Move®)の詳細はこちらから

まとめ

AMRは従来かかるはずであった人件費を抑えると同時に従業員の作業環境、人の管理に関わるバックオフィス業務の負荷を改善するウルトラCです。
弊社、シーオス株式会社のAMR(Logiler Move®)は現場経験のある技術者が開発することで、かゆいところに手が届くような機能を搭載しております。
また、

  1. ・商業施設
  2. ・倉庫施設
  3. ・物流倉庫
この全てに対応しており、多くの環境改善事例がございます。
AMRについてもう少し詳しく聞きたい、導入に不安がある場合は、弊社へお問い合わせください。シーオスではAMRを販売するだけでなく、業務全体をお客様と共有し支援いたします。全体業務を描けるのがシーオス。業務と連動したAMRを、導入企画から改善までをご提案いたします。

ロジスティクス大賞の受賞で裏付けられる
技術とノウハウ

シーオスは、公益社団法人 日本ロジスティクスシステム協会が主催する「 ロジスティクス大賞」を2度受賞しています。

SEAOSのAMR

シーオスが提供するAMRについてはこちらから