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物流センターの省人化・無人化は可能なの?メリット・デメリットについて解説します。

「ピッキング作業が属人的しつつあるので、誰でも出来るようにしたい」
「人件費の計算をする上ではロボットの方が経営計画を立てやすい」
「物流センターの省人化・無人化は可能なの?」

という方のために物流コンサルティング会社の現役COOが物流センターの省人化・無人化について、徹底解説致します。
物流センターを省人化・無人化しようと考えているものの
「具体的なやり方や効率的な省人化・無人化ができるのか不安...」
という方向けに記載していきます。

物流業界の現状(課題)と省人化・無人化の実現可能性

近年、とりわけ日本でも新型コロナウイルスの拡大が始まった2020年以降、物流業界の様相は大きく変化しました。
まずは物流業界の現状の確認と、その中で今注目の集まっている、省人化・無人化の実現可能性について考えていこうと思います。

物流業界の現状(課題)

物流業界の現状(課題)

コロナ禍を経て、国をまたぐ人や物の動きが制限される中で、国際的な貨物の取り扱い量は減少しました。その一方で巣ごもり需要の増加から、ECサイトを利用したオンラインでの購買活動はかつてないほどに盛んになりました。小口配送が増えることで、物流センターでの業務やドライバーの方々の負担は非常に重いものとなっています。
小口の物量の増加や複雑化により、現場では長時間での労働が求められるようになったにも関わらず、賃金面での待遇は他業界と比べて良いものとは言いがたく、深刻な人手不足が起こっています。業界に従事する方々の負荷を軽減することは、喫緊の課題と言えるでしょう。
物流センターの省人化・無人化の実現可能性

物流センターの省人化・無人化の実現可能性

そこで現在注目が集まっているのが、物流センターの省人化・無人化です。
実は物流センターの省人化・無人化は技術的には概ね可能な段階まで進んでいます。実際に大手家具量販店の「ニトリ」も、出庫工程において庫ロボット自動倉庫を導入し話題となりました。取り扱い製品の種類や配送の形態によりどこまで人の手が入る必要があるのか、程度の違いはありますが、比較的多くの業種の商材でで省人化効果を得ることが可能になってきています。
ロボットやマテハンの導入は、今後の物流業界の労働環境を改善する上でも、一つの大きなソリューションと言えるでしょう。

物流センターを省人化・無人化する際のメリット

では物流センターを省人化・無人化することのメリットを具体的に見ていきましょう。
①作業・生産性の向上

①作業・生産性の向上

省人化・無人化を行うということは、従来人間が担っていた業務をマテハンやロボットに代行させるということです。機械で代替すれば、人力では持つことのできない重量物の取り扱いも可能な上、24時間連続で稼働することもできます。また現在は、入庫〜ピッキング〜出庫まで、様々な工程に対応する機器が開発されています。自社が必要としている部分に、適切な機能を備えた機器を導入することで、生産性の大幅な向上を期待することができます。
②属人性の排除と作業品質の安定化

②属人性の排除と作業品質の安定化

従来の属人的な作業に頼った倉庫業務は、機械では担えない繊細な作業が可能な一方で、作業員の熟練度によって作業品質が左右されてしまうため、ヒューマンエラーが起きる可能性を排除できませんでした。しかし機械化を行うことで、安定した作業水準を維持することができるようになり、長期にわたって作業品質を均一に保つことができるようになります。
③人手不足を解消できる

③人手不足を解消できる

物流業界全体が人手不足に陥っている現在、安定した労働力を提供してくれるマテハン・ロボットの活用は業務全体に安定感をもたらしてくれます。また、物流には繁忙期と閑散期がつきものですが、センター内で人員を固定化してしまうと、繁忙期の業務量を基準とした場合は、閑散期に余剰な労働力を抱えてしまい、コスト増につながる結果となってしまいます。しかしマテハン・ロボットは、物量の一部の領域の作業を代替してくれるため、最小限の人的資本の雇用で済み、人件費削減に寄与します。
④物流センターのスペースを最大限利用できる

④物流センターのスペースを最大限利用できる

一般的な物流センターは天井を高く設計されているものが多いため、人が扱える高さには限界があるので、それ以上の場所はデッドスペースになってしまうことが一般的です。しかし保管および入出庫を自動倉庫で代替させることによって、保管スペース全体について在庫用途で使用することが可能となるため、今まで以上に多くの在庫を保管し、空間運用の効率化を図ることが可能となります。

物流センターを省人化・無人化する際のデメリット

ここまで物流センターを省人化・無人化することのメリットを確認してきましたが、導入にあたって考えられるデメリットがあることも事実です。
以下では、それらの考え得るケースを検討していきましょう。
①導入コストがかかる

①導入コストがかかる

マテハン・ロボットの導入や、そのための環境を整えるためにはある程度まとまった額の先行投資が必要となります。ロボット1台でも数百万円が必要となりますが、倉庫全体を省人化・無人化しようとした場合、億単位の出費が必要となってきます。また、複数台のロボットを管理したり、それぞれの個体が行う作業を効率的に連携させるためには、物流システムの構築・導入もあわせて必要となります。
まとまった投資が難しい場合は、使用する分だけの金額で済む、物流ロボットのリース契約やサブスクリプション契約をサービスとして提供するベンダーもあります。上手に活用すれば初期投資を抑えることも可能なので、事前に十分にデータを集め、念入りなリサーチを行いましょう。
②レイアウトや業務の変更が必要となる

②レイアウトや業務の変更が必要となる

自動倉庫のような大規模マテハンを導入するような場合や、搬送ロボットを導入するような場合、大なり小なりレイアウト変更の必要が生じる場合があります。たとえば、AGV(Automatic Guided Vehicle:無人搬送車)と呼ばれるロボットを利用する際には、床面に走行ルートを示す専用の磁気テープを貼ったり、ロボットに合わせて通路幅を確保する必要が出てくる可能性があります。
また、業務の変更に伴うマニュアル修正や、作業員の再教育にかかるコストも無視はできないでしょう。
③保守・運用コストがかかる

③保守・運用コストがかかる

長時間稼働することがマテハン・ロボットのメリットですが、安定して稼働させるためにも、機器メンテナンスは必要です。また、稼働に必要な電気代などのコストも計算に入れておく必要があります。それらのコストと、現状の属人的な運用にかかっている人件費などを比較しつつ、慎重に導入を検討する必要があります。

物流センターを省人化・無人化させる方法と注意点

では、物流センターの省人化・無人化はどのように進めていくのか。以下ではその具体的な方法をご紹介いたします。

物流センターを省人化・無人化させる方法

物流センターの省人化・無人化と一口に言っても、現行の倉庫にロボットを導入するという方法と、倉庫機能の一部をマテハンにリプレイスするという大きく2つのソリューションに分かれます。
①ロボット導入

①ロボット導入

まずご紹介するのは、既存の倉庫に物流ロボットを導入するという方法です。導入にあたって、庫内の棚配置や通路幅の変更などのレイアウト調整が必要となる場合がありますが、基本的には現行の倉庫をそのまま利用するため、自動倉庫等のマテハン導入に比べて導入がしやすいという特徴があります。また、扱う製品に変更が生じた際も、ロボット台数や設定・運用方法の調整で対応できることも多いため、汎用性の高さという点でも自動倉庫に比べて有利と言えるでしょう。 細かいピッキングなどを要求されるBtoCの倉庫には、向いているソリューションとなります。
②倉庫機能のリプレイス(自動倉庫へ刷新など)

②倉庫機能のリプレイス(自動倉庫へ刷新など)

倉庫機能をリプレイスする方法として導入の多い自動倉庫の場合は、倉庫の保管機能や入出庫機能を置き換えるような変更となります。そのため、工事費用は一般的に高額になってしまうことに加え、レイアウト変更等の副次的なコストが発生するという点でも、ロボットの導入に比べると大きくなりがちです。しかしながら適用領域が広く、決まったパターンの作業を繰り返し行うという観点では、ロボットよりも生産性が高いことが多い特徴があります。
決まった商品を素早く大量に捌く必要のあるBtoBの工場や物流センターには、向いているソリューションとなります。

物流センターを省人化・無人化させる際の注意点

ロボットの導入、自動倉庫の構築のどちらの場合も、スムーズな導入を行うためにはいくつかの注意すべきポイントがあります。以下ではそんな気を付けるべき箇所をご紹介していきます。
①投資対効果の高い領域を見定める

①投資対効果の高い領域を見定める

まずは現状の物流センターの課題点を洗い出しましょう。
「現在の庫内の物の流れのどこに効率の悪さを感じているのか」
「デッドスペースがどれ程あり、それによってどれだけの損失を生んでいるのか」
こういった分析を丁寧に行うことで、あまり必要性の高くない箇所に高額な投資を行ってしまうリスクを回避したり、導入にあたっての最適解を見つけることが可能になります。また、マテハン・ロボットの導入以前の段階で解決可能な思わぬ改善点も見つかるかもしれません。
②機器導入までのスケジュールを決定しておく

②機器導入までのスケジュールを決定しておく

現状把握を行い、どのような機器を導入するのかを決めたら、次はスケジュールの立案を行いましょう。上でも述べたように、物流には繁忙期と閑散期があります。既存の物流センターに機器を導入する場合、繁忙期に倉庫業務をストップさせてしまうと大きな損失につながります。そのため、導入工事は閑散期の間で済ませるなどにより、リスクを最小化することができます。
また、作成したスケジュール通りに工事を行えるよう、事前にできる作業はなるべく計画的に進めておくようにしましょう。
③費用感の全体共有

③費用感の全体共有

ロボット導入でも、自動倉庫等のマテハン導入でも、多額の投資となることに違いはありません。費用感だけでなく、導入後の投資対効果がどの程度見込めるのかを、全体で共有しておくことは非常に重要になってきます。
また費用感の共有と併せて、導入後の運用体系の立案や認識の共有も欠かせません。

シーオスが開発した物流ロボットのご紹介

弊社、シーオス株式会社でも搬送ロボットのサブスクリプションやリースを行っています。またロボット導入にあたっての運用構築並びに投資対効果の検証コンサルティングのご支援も承っています。
以下では弊社が提供している2種類の物流ロボットをご紹介いたします。
工場・物流センター・商業施設用ロボット:TUGBOT

工場・物流センター・商業施設用ロボット:TUGBOT

1つ目はTUGBOTです。TUGBOTは自律走行型搬送ロボットと呼ばれ、自分で周りの状況を読み取り走行ルートを判断できるロボットです。そのため、施設内のレイアウトに変更を加える必要がなく、導入費用を抑えることが可能です。最大500kgまでの重量物の運搬が可能な点や、自動で荷物の付け外し・充電を行える点など、運搬業務を最適化する上での機能を多数備えています。人と協働する際の心強いパートナーとなってくれることでしょう。
物流センター用搬送ロボット:キーカート

物流センター用搬送ロボット:キーカート

https://www.seaos.co.jp/product/logiler/
2つ目にご紹介するのはキーカートです。こちらも自律走行型搬送ロボットであるため、物流センターの床面にルート案内用の磁気テープなどを設置する必要はありません。従来フォークリフトが行っていた搬送作業を代わりに行い、最大500kgまでの荷物が牽引可能です。また、アタッチメントを取り替えることで、多様な形状の荷物に対応し、自動の切り離しも可能です。
「フォークリフトで荷物を長距離移動させる必要がなくなったため、衝突事故のリスクを軽減することができました」
とのお声を、導入いただいたクライアント様からいただいた事例もあります。

まとめ:初期費用の壁を乗り越えると大きなメリットが生まれる

マテハン・ロボットの導入には費用がかかりますが、一度導入してしまえば簡単な保守運用作業で、長時間での稼働が可能となるだけでなく、作業品質も均一化します。
シーオス株式会社では、物流センターレイアウト設計〜物流ロボットの導入〜保守運用まで、一貫してご対応することが可能です。
また、上記でご紹介したように、弊社では搬送ロボットのサブスクリプションでのご提供・ご提案なども行っております。
物流に関するお悩みがある方は下記のページよりお問い合わせください。

ロジスティクス大賞の受賞で裏付けられる
技術とノウハウ

シーオスは、公益社団法人 日本ロジスティクスシステム協会が主催する「 ロジスティクス大賞」を2度受賞しています。

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