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物流DX事例紹介セミナー

製造業における調達物流の課題と解決アプローチ

追記:ご好評につき、アーカイブ配信を実施いたします

昨今、製造業において物流領域の見直しが進んでおり、特に「調達物流領域」に関する動きが強まってきています。

見直しに至る大きな要因は物流コストの上昇に起因しており、このまま放置すれば、今後の成長阻害要因となるだけでなく、事業の持続性においても悪影響を及ぼすこととなるでしょう。

特に、調達物流においては、必要なものを必要な量だけ必要な時に調達するJIT(Just In Time)の考えから、在庫削減する傾向がありましたが、 2020年のコロナ以降、万が一に備えるJIC(Just In Case)の観点でライフラインを止めないように、一部の原材料については在庫確保を行う動きが出てきている状況です。
つまり単純に在庫削減するだけではなく、事業の継続性の観点も加味した上で、どのように最適化をするかという在庫管理需要が高まってきています。

しかし、わかっていても思うように改革できない企業様が多いのではないでしょうか。

弊社では物流課題の解決アプローチの1つの流れとして「分析のためのデータ整備」→「物流構造(在庫・入出庫)のモデル化・個社要件を加味した物量シミュレーション」→「全体最適化の土台となる物流原価管理」→「投資対効果が高い施策検討・実行」を行ってきました。

多くのプロジェクトにおいては後半部の施策検討に重きを置かれがちですが、正しい施策立案のためには、「データ整備」「物流構造のモデル化・物流シミュレーション」により客観的に現状を捉え、正しいインプット情報をもとに施策検討することが必要不可欠です。
しかし、「データ整備」や「モデル化・シミュレーション」について、おざなりになっていることが多く、それが原因で判断を見誤ったり、見当違いの議論になってしまうことも少なくありません。

そのため、今回のセミナーではプロジェクトに不可欠でありながら、軽んじられがちな「データ整備」「モデル化・シミュレーション」に焦点を当て、解決アプローチの一連の流れに沿って事例を紹介させていただきます。

セミナーでご紹介する事例の流れ(ポイント)

Point1

分析のためのデータ整備

データが正しくそろっていなければ、正しく判断できない

データ分析による仮説検証。
これには、必要な形・必要な粒度・必要な精度でデータが整えられている事が大事です。
しかし、多くの企業・プロジェクトにおいて、必要なデータが揃っているケースは残念ながら極めて少ないのが実態です。

現状課題を正しく理解するためには、思い込みではなく客観的に判断するための情報が必要不可欠です。
物流領域において必要な情報の一つとして、サイズ情報があります。
多くの場合、数量情報までは管理されていますが、体積や重量、荷姿を示すための入数(いりすう)データが整っていません。

これまでは物流が調達や製造の調整弁として機能し、物流担当者が属人的に管理をされていたために運用対応で乗り切っていたことが主要因ですが、より効果的・戦略的に物流を捉える場合、利活用できるように物流マスタとして、データ整備することが求められます。

データ整備が進むことでPoint2で触れるような物流構造のモデル化に使用することが可能となり、例えば、必要保管スペースの算出や要件変更時の影響範囲などを求めることが可能となります。

Point2

物流構造(在庫・入出庫)のモデル化・個社要件を加味した物量シミュレーション

物流の実態をデータ化し、取扱できるようにすることで、影響範囲を予測できる

データ整備ができたら、それを成形し、物流構造のモデル化を行うことで、分析可能な環境が整います。

業務であれば、現場の業務にどのようなパターンがあり、それぞれどの程度の物量が流れるのかを誰が見ても理解できるようにモデル化(標準化)していきます。

例えば、調達物流領域における必要保管スペースを試算したい場合は、
データ整備によって各原材料の品目ごとの格納容器種別(フレコンやケース、金属缶など)が特定でき、どの程度の物量が入るのかがわかるため、必要格納容器数とその容積が算出されます。
格納容器が算出されれば、格納容器をおさめる格納什器がわかり、庫内レイアウトの棚割までできるようになるため、レイアウトがひけるようになり、保管スペースの試算が完了します。
※付随して、業務パターンや内容にもとづき、作業などのスペース算出も進めていくことで、庫内全体のスペース算出も可能となります。

また、モデル化の後に個社要件を加味したシミュレーションを行うことで、より具体的な試算も可能となります。
たとえば、各品目の在庫日数の基準を変更したり、ロット別に格納間口を変える場合に発注頻度を変更したりと、何か変更を加えた時に影響範囲がどの程度で、それが許容可能な物量なのかどうかが試算できるようになります。

最近では、在庫削減だけでなく、有事対策として原材料などの部素材を備蓄しておきたいというニーズも高まっているため、その場合に保管可能な上限はどのくらいなのか、といったことを事前に検証することが可能となります。

Point3

全体最適化の土台となる物流原価管理

収益面での評価を可能にすることで、より適切な判断に繋げる

作成した物流構造モデルに対して、モデルのデータ粒度にあわせて原価情報を紐づけすることで、どこにコストがかかっているのか(収益性が悪いのか)が明確化され、全体最適をはかるうえでの判断材料として使用することができるようになります。
※物流原価:作業費・保管費・配送費・その他共通原価に分類

各業務の物流原価が正確に把握できることで、検討中の複数施策のうち、どれが最適であるのかを収益評価できることから、全体最適化の道筋を整えることができるようになります。

例えば、「在庫量を増やす代わりに、調達時の発注ロットを大きくし、調達頻度を低くする」「調達時の発注ロットを小さくして発注頻度を高める代わりに、在庫量を減らす」といった二つの施策がある場合、調達費用に加えて、作業費・保管費の影響を含めて検証できるため、どちらの施策が全体を通してみると最適なのか(収益が高いのか)を判断することが可能となります。

Point4

投資対効果が高い施策検討・実行

客観的な交渉材料をもって、利益が確保できるサービスを提供する

物流原価管理によって施策の収益評価を行う土台ができるということは、構造化・整理された原価情報を交渉材料として使用できるということにもつながります。

交渉材料があれば、顧客とのサービスレベルを調整したい場合も、交渉をするだけの根拠を示すことが可能となるため、建設的に相手と商談をすることができるようになります。

例えば、納品時間帯に指定がある場合、すべての顧客に対して守ろうとすると、必要以上の車両手配が必要となり、かつ売上の小さい顧客の収益が低いことから、「やればやるほど赤字」という状況に陥ります。

顧客別の配送原価を持っていれば、納品時間を少しずらしたり、配送頻度を落とすことによる原価低減を図ることができ、かつ具体金額の試算も可能となります。

当初取り決めたサービスレベルは、当時の前提をもとに作られているため、時間経過により形骸化し、必ずしも遵守しなくてもよい要件が慣習的に残存していたり、顧客へ過剰サービスすることで顧客が望まない値上げをせざるをえなかったりというケースもありうるため、根拠を持った交渉は非常に有用です。

提供サービス原価に対して、利益が確保できる施策がどのようなもので、顧客が受け入れ可能なものがどの範囲なのかを示すことで、双方の落としどころもつかみやすくなり、中長期的に両社の関係を良いものに保つことにも寄与します。

まとめ

分析のためのデータ整備や、物流構造のモデル化や個社要件を加味したシミュレーションによる実態把握を行うことで、解決アプローチの有効性を高めることができます。
このページでご紹介した内容に沿って、セミナーでは当社が具体的に支援した事例を取り上げ、ご紹介させていただきます。

ぜひ本セミナーにて、課題解決の一助となる物を持ち帰っていただければと思います。

事例セミナー開催概要

日時 7月26日 (水)  12:00~13:00
7月27日 (木)  15:00~16:00
会場 WEB
参加費 無料
主催 シーオス株式会社
資料 アンケートにご協力頂いた方は討議資料をダウンロードすることができます。
https://forms.gle/a2L7cos2v3QYhAuZA