物流費が見えない会社ほど、利益を失っている

小売・流通業が取り組むべき「真の物流原価管理」と物流改革の進め方

■ この資料でわかること

本資料では、小売・流通業で多くの企業が直面している「物流費が見えない」という課題について解説します。物流費の上昇や人手不足への対応が求められる一方で、どこに改善余地があるのか判断できない企業は少なくありません。本資料では、物流費がブラックボックス化した背景、3PL依存から脱却するための考え方、真の物流原価を把握する方法、メニュープライシングによる行動変容について紹介します。

■ このような方におすすめ

  • 物流費の値上げ要請を受けたが妥当性を判断できない
  • 3PLへ委託しているが現場コストが見えない
  • 商品別、SKU別の本当の利益を把握したい
  • 商品部門と物流部門で議論がかみ合わない
  • 物流改善を進めたいが何から着手すべきか分からない

このような課題を抱える企業では、物流を「現場任せ」にせず、経営判断できる状態へ変えることが重要です。

はじめに

昨今、物流費の上昇や人手不足が深刻化する中、「自社の物流費が妥当か判断できない」と悩む企業は少なくありません。
その根本原因は、長年の3PLへの委託やセンターフィー(店着価格制)の活用により、物流費の構造が「ブラックボックス化」していることにあります。
実態のコストが見えないことで商品部門と物流部門の間に認識差が生まれ、知らず知らずのうちに物流負荷の高い商品が利益を圧迫しているケースも散見されます。
本資料では、こうした構造的課題を紐解き、「真の物流原価の可視化」と「メニュープライシング」の考え方を用いて、物流をコスト管理から「経営判断の指標」へと変える改革の進め方を解説します。

目次

物流費がブラックボックス化する理由

物流費が見えにくくなった理由は、成長期に最適だった物流モデル(センターフィーモデル)に起因します。多くの企業では、店舗拡大を効率的に進めるべく卸や3PLを活用してきました。専門事業者への長期間委託により、現場の改善・効率化が進んだ一方で、自社内には物流業務の知見が蓄積されにくくなりました。また、店着価格制により、店舗到着までの物流費を商品価格に一定の料率をかけあわせて算出するようにしたことで、費用の管理は簡易化された半面、物流費の内訳や費用構造が不透明になりました。結果として、売上や粗利だけでは利益商品に見えていたものが、物流費用を含めると利益を圧迫していたケースも散見されるようになり、成長鈍化した時代においては課題となってきています。

図解①:物流費がブラックボックス化する構造

主体・部門主な視点・目的分断による課題・ブラックボックス化の影響
荷主企業
商品部門
売上・粗利重視物流費は固定費(あるいは商品価格に内包)と捉えがちで、過剰発注や特売が物流現場にかける負荷・コストを意識できない。
荷主企業
自社物流部門
効率・費用抑制重視コスト低減を求められるが、商品ごとの物流負荷や作業工数を把握できず、売上最大化を狙う商品部門と議論がかみ合わない。
委託先3PL
(運営主体)
現場運営業務委託のため、荷主企業側に業務知見や物流原価の蓄積・共有の観点が少ない。

※荷主企業(商品部門・物流部門)・委託先3PLの視点が異なることで、正確な物流費(物流原価)が見えない状態となります。

物流改善が進まない3つの壁

第一の壁は、原価が分からないことです。どの作業にどれだけ時間がかかり、どの商品が物流負荷を高めているのかが把握できなければ、改善策を立てることはできません。

第二の壁は、サービスレベルを見直せないことです。すべての要望に対応する物流から、本当に必要なサービスを選択する物流への転換が必要です。

第三の壁は、部門間の認識差です。商品部門は売上、物流部門は効率を重視しがちとなります。

この3つの壁について、物流原価という共通言語を持つメニュープライシングの考え方を適用することで、利益最大化に向けた建設的な議論が可能になります。

メニュープライシングによる物流改革

メニュープライシングとは、物流サービスごとのコストを明確にし、サービス内容に応じた価格設定を行う考え方です。時間指定、小ロット配送、短納期対応など、通常業務の範囲を超える物流サービスにはそれぞれの負荷に見合った金額を設定すべきですが、従来のセンターフィー型管理では、その違いが見えません。物流特性に応じた原価管理へ転換することで、どの行動がコスト増につながるのかについて、関係者間で共通指標を用いた建設的な議論が可能になります。

図解②:従来型センターフィー管理 vs 物流原価管理

管理手法構造・計算プロセス特徴・課題
従来型 (センターフィー等)商品価格から一定の料率算出で 物流費を簡易試算
→ 実際の物流原価と異なる費用構造に
物流費が固定費化・内包化し、SKU別の実態コストや利益把握ができない
改革後 (物流原価管理)商品の物流特性から物流費を算出
例)作業費・保管費・配送費
→ 実際の物流原価で管理可能に
業務・商品別の物流負荷を科学的に可視化し、整理することで、実態にあわせた利益向上策の判断が可能

図解③:メニュープライシングの考え方(一例)

サービス区分メニュー例サービスレベルと費用の関係
標準業務計画的発注、標準リードタイム
(N+2等)、一括納品
基準費用 →効率化に寄与する改善がみられた場合はインセンティブ/値引き対象
標準外業務・翌日納品対応
・庫内附帯作業
など
負荷に応じた追加費用設定 (コストと利便性のトレードオフ) →割増価格設定による需要の自律的抑制

※サービスレベルに応じた業務負荷が費用として可視化することで、関係者の効率的な行動変容を促すことが可能となります

物流原価を可視化する方法

物流原価の把握には、まず現場業務を可視化することが必要です。入荷、検品、格納、ピッキング、出荷などの工程を分解し、それぞれの作業時間や発生頻度を整理し、標準業務を定義します。これら標準作業と、実際にかかった負荷(工数)の管理により、感覚に頼らない、データに基づいた原価算出が可能になります。物流原価が見えることで、改善効果を数字で判断できるようになります。

物流原価を経営判断につなげる

物流原価は単なるコスト管理の数字ではありません。商品政策、発注ロット、配送条件、3PLとの契約など、多くの経営判断に活用できます。例えば、物流負荷の高い商品を把握できれば、販売方法や発注方法を見直し、利益改善につなげることができます。物流部門だけではなく、商品部門や経営層が同じ数字を見ることで、サプライチェーン全体の最適化が可能になります。

自社チェックリスト

以下に当てはまる項目がないか確認してください。

□ 商品別の物流原価を把握できている
□ 3PL費用の内訳を説明できる
□ 物流サービスごとのコスト差を理解している
□ 商品部門と物流部門が利益指標を共有している
□ 改善効果を金額で評価できる

複数項目に課題がある場合、物流構造の可視化から始めることが重要です。

結びに代えて

物流改革の第一歩は、新しい設備やシステムを導入するだけではありません。まず必要なのは、これまで見えなくなっていた物流コストと業務構造を正しく理解することです。真の物流原価を把握し、適切なサービス設計を行うことで、物流は単なるコストではなく競争力を生み出す経営資源になります。物流構造の可視化や原価管理について、自社の状況に合わせた整理から始めてみてはいかがでしょうか。

シーオス株式会社 について

シーオスは、ロジスティクス分野に25年以上特化してきたソリューションカンパニーです。
「ロジスティクス」を単なる物の移動ではなく、企業価値に直結する重要領域と捉え事業を展開してまいりました。創業以来、ロジスティクス領域に特化した専門チームを擁し、現場理解と戦略立案の双方に強みを持つパートナーとして、製造・小売・ECなど数多くの企業様の課題解決に伴走しております。

戦略コンサルティングからシステム開発、WMS(倉庫管理システム)やTMS(輸配送管理システム)、最先端のAMR(自律型搬送ロボット)ソリューション、さらには現場業務の受託に至るまで、フルラインアップのサービスを提供しています。

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この記事を書いた人

取締役
CCSO/Chief Consulting Officer
テクノロジーサービス事業部長
兼コンサルティング&エンジニアリング部長

ベンチャー3社で営業・経営企画・商品開発など幅広い実務と新規立ち上げを経験後、現職。

全国の輸配送網の最適化PJ、倉庫内業務の改革・改善PJのPMや、自社プロダクト(TMS、トラック予約システム、搬送ロボット)の立ち上げ・推進など、複数案件の実績を持つ。

現在はコンサルティング、DXソリューションなどの事業部門全般を統括し、
多角的なアプローチで顧客企業のロジスティクス課題解決を担う。

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