前編・中編・後編と全3回に亘って、X社のフルフィルメントセンター(FFC)の改革事例をお伝えしてきました。
各回では象徴的なエピソードを通じて変革の要点をお伝えしましたが、本プロジェクトの全体像—どのような思想で設計し、どんな仕組みで運用し、何が成果を分けたのか—を一望できる形では語り切れていません。
そこで本稿では、当社が2009年に発表した論文を抜粋しながら、改革の設計思想と成功の構造を可能な限り包括的に整理してお届けします。
同じ課題に向き合うみなさまが、自社の改革を前に進めるための一助となれば幸いです。
是非ご一読ください。
ビジネスの特徴とオペレーションに求められる要件
課題
情報誌を中核事業としているX社が、その出自を強みとして作り上げた通販事業は、カタログでは訴求できない情報誌による深い情報提供、他社にはない多様な商品の短サイクルでの展開および自社の他紙またはネットや携帯を活用しての多彩な需要喚起によりお客様の潜在需要を掘り起こすことに成功している。また、その事業展開は、仕入販売ではなく、販売代行というビジネスモデルにより、高度な機動性を持つ。
しかし、上記ビジネスを実現するためのオペレーションは、結果として非常に難易度の高いものが要求されることになった。その機能の中でもとりわけSCMという範囲、また最も川下に当たるロジスティクスという機能範囲において、以下の理由によりその難易度が最大限に達する。
(1)商品のオリジナリティー
他では手に入らない商品を掲載するという差別化により、ビジネス規模の大小を問わず多くの販売会社との取引を行っている。そのために、商品個装への標準のバーコード表示が保障されない。定番品率が極めて低く、新規品の割合が多いため、何が売れるかの予想が困難である。
(2)膨大な商品点数と荷姿の多様性
登録商品数約15 万6000、販売可能商品数約2 万6000、小物から小規模な家具まで宅配便で配送可能なサイズ内の多様な荷姿をもった商品群があり、限りなく100%に近い率で複数商品の詰め合わせで出荷されるため荷扱いの難易度が極めて高い。
(3)販売代行というビジネスモデル
商品を提供しているのはX社ではなく、あくまで販売会社である。商品情報を提供し、受注を受け、お客様までお届けする販売業務をX社が代行している。よって、通販期間が終了した商品は販売会社へ返却され、約75%の商品が入れ替わる。通販期間
の終了時には引っ越しを行っているような商品移動が常となる。
(4)販売活動の多様性、柔軟性、タイムリー性
グループの各紙、小冊子・DM、ネット、メールを活用した商品紹介など、多様なメディアを活用し販売促進を行うために需要の振れ幅が大きく、店舗小売の業態に例えると大小問わず常に何らかの催事が行われているのと同様な対応が必要となる。
目標
ダイレクトマーケティングによる無店舗販売においては、本来お客様が行う買い物というプロセスを売り手側が代行しなければいけない。またそのプロセスを代行する品質がお客様の満足度を左右するとともに、そのコストは売り手において、通常の小売以上の大きな負担になる。品質とコストのバランスを適切に保つ役割がそのプロセスを代行する機能に課せられる。
また、通常の店舗販売同様に店舗までのロジスティクス機能も同時に課せられる。配送機能は店舗まで行うのか、個別の顧客までに行うのかの粒度の差が、バラ率の上昇やケース数の増加という差の違いとなる。
次のように見方を変えて表現をするとあるべき設計思想が見えてくる。日本全国の市場を相手にした小売の業態で、店舗が全国に1つしかなく毎日全国からお客様が買い物に殺到する。そのお客様はすでに買うものを決めた買い物リストを持っている。入店してから買い物袋を提げて出店するまでに、買う商品を間違えることなく、探すストレスもなく、如何に早く、楽に買い物を終えることができるか? がお客様の満足を決めるのである。
このような買い物ゲームで如何に高得点を獲得するか? そう考えてプロセスセンターを設計し、うまく運営すればよいのである。
オペレーションにおける技術的な要点とその成果
すべてのロジスティクス機能が集約されたプロセスセンターとしての機能
我々は前述の買い物ゲームに勝利するためにセンターを物流センターという機能ではなく、買い物というプロセスを代行し、そのプロセッシングの処理能力と精度を競うプロセスセンターという機能に位置付け、そう命名した。そのセンターには大きく7 つの機能がある。
①セレクト集合店舗 ②ブランド別店舗 ③集合レジ ④バックヤード保管 ⑤倉庫保管 ⑥入荷・検品・入庫格納 ⑦お客様からの返品・販売会社様への返却 。
X社のビジネスモデル、また今後の日本のダイレクトマーケティングによる通販市場の進化の方向性を見据えると、市場の変化に対応するために商品の種類・量がめまぐるしく変化し、需要を喚起するあらゆる施策により作業内容もめまぐるしく変化することが予見される。
例えばこういうことに即座に対応できなければいけない。(例1:1 週間限りのネット限定コレクションブランド販売。)(例2:毎週行われる特選品の企画催事。売れ筋トップ50セレクション)(例3:お客様のニーズにより開発された商品の日替わり掲載)このようにお客様のニーズを取り逃がさないあらゆる施策がタイムリーに展開されていくのである。
よって、それらの変化に柔軟に対応する能力が問われるのと同時にコストも最適にしなければ競争には勝てない。また品質も維持しなければお客様にそっぽを向かれる。これらの方向性を考えれば以下の基本的な設計思想が見えてくる。
(1)設計者・運用管理者の仮説・検証によって、作業のやり方やそれを実現するレイアウトを自在に変更できる柔軟性のあるものにする。
(2)その結果、自動機などによる機械化はほとんど行わず設備投資は最低限とし、作業を支援するシステムはリアルタイムでかつウェラブルなものにする。
(3)柔軟に作られたシステムを使いこなすことにより設計者や運用管理者の仮説・検証と計画された事前作業を高度化し、作業レベルでは周到に準備された環境で最大の生産性を発揮できるようにする。
(4)作業レベルでは、粒度の細かな明確かつ具体的な指示内容とし、作業者が迷うことのないよう、精神的な負担を最小限にする。また、同じ作業を行うのであればより楽に作業ができ、かつ作業場所や道具が変わっても同じ作業ができるように、作業環境・道具を標準化する。
(5)システムは細かな要件が実現できるように自社開発とし、作業環境、作業道具も細かな要件が実現できる軽い素材を使った自社制作の手作りとする。
以上の設計思想は、弊社がどのプロジェクトにも適応している基本事項にあたるものだが、今回のプロジェクトにもそのまま適応することが適切であると判断された。
各機能の内容ともたらす成果
前項で述べたプロセスセンターの7 つの機能につき以下に詳述する。
(1)セレクト集合店舗
同時に買い物が可能な複数のブランドの中で特に売れ筋商品を集めた商品陳列棚のエリア。如何に短時間に決められた商品を手に取り買い物かごに入れるかという課題に対応した施策・設計であり、このエリアの商品を含む買い物が80%を占め、このエリアで完結する買い物が30%を占める。
集合レジに最も近いエリアに設置されており、このエリアが大き過ぎれば買い物に時間がかかり、小さすぎては対応可能な買い物の率が下がる。また、商品を手にとって移動するという行為のためにどうしても建物の構造に制約を受ける。建物の構造としては、移動に対する制約を最小にするために柱や壁が少ない方が良く、一層で広い面積が確保できる方が良い。
(2)ブランド別店舗
セレクト集合店舗ほど、買い物頻度が高くない中・低頻度の商品を陳列するエリア。よく売れる商品だけを買い物されたお客様はセレクト集合店舗のエリアだけで買い物が終了するが、あまり売れない商品も同時に買い物されたお客様はブランド別店舗エリアまでいかなければ買い物は終了しない。買い物の順序は最後にセレクト集合店舗エリアに行くように設計されており、そのエリアで買い物が終了すればすぐ集合レジで決済できるという設計になっている。
商品の陳列方式は、セレクト集約店舗より買い物の頻度が低いことから、標準ケースをハーフカットした入り数半分のケースで陳列する場合が多く、より多くの商品を陳列できるように工夫されている。
(3)集合レジ
決められたすべての商品を手に取り買い物かごに入れるのが終了すれば、集合レジに行き、買い物点数の確認、必要な帳票類、販促などの目的に同梱される物品やチラシ・冊子、出力されたシール形式の配送票をセットして、梱包し配送事業者に引き渡すかご車にセットする。
この機能は明確で具体的な作業指示とそれを支える整った作業環境があれば、作業を集約し滞りなく作業を行うことで生産性が向上する特性を持っている。
わかりやすく百貨店の紳士服売り場を例にあげると、フロアの周囲にはブランド毎に売り場があり決済もブランド毎に済ませる。中央にはいくつものブランドが集合したエリアがあり、ある一定の範囲に集合レジが配置され、お客様が選んだ商品を店員さんが受け取り、決済と包装をしてくれる。
今回構築したのは後者の場合と同じで、複数のブランドをまとめて決済する集合レジの形式である。この機能は、同じ買い物かごに入れることのできないブランド単位で個別に配置した方が店舗を小さくすることができ、買い物を効率的にすませることができる場合もある。あくまで規模に応じて集約するか?分散するか?の最適解は異なる。
これら(1)~(3)の機能により出荷作業の処理能力は改革前と比較して2 倍以上の向上となり、コストは約3分の2まで削減された。
(4)バックヤード保管
店舗のバックヤードと同様な機能である。店舗には生産性を最大にする最適なサイズがあり、その結果陳列できる数量には限界が生じる。店舗に陳列できないが直近の在庫として必要な量を保管する。店舗の陳列棚へは、買い物の頻度に応じてカンバンが貼付されたケース単位で補充される。
(5)倉庫保管
買い物の頻度が高く、多くの在庫を保管しなければ欠品になってしまう商品や計画した数量が売れずに余剰になっている商品などが保管されるエリア。バックヤードに保管する以上に在庫の数量がある場合と商品の個装体積が大きいためにバックヤードに多くの数量が保管できない場合に使用されるケースがある。入出庫頻度が少ないために保管効率を重視し、パレットラックを使用した多層構造が中心となる。
(4)、(5)の機能により保管効率が従来比1.5倍以上向上し、最大3 か所に分散されていたセンターを一か所に集約することができた。
(6)入荷・検品・入庫格納
外部環境において標準化が困難であっても、プロセスセンターの効率化に資する標準化はセンター内において行う必要がある。
入荷時点で商品への標準的なバーコードの貼付が期待できず、かつPCS バラの詰め合わせで入庫されるケースが多く、点数検品と仕分けが必要とされる悪条件が制約として課せられている。これを逆手にとり、標準ケースへの詰め替えとケースカンバンの貼付を行い、品質を保証する作業の管理単位をPCS からケースへ転換した。
またこのカンバンとシステムにより自動で出力される検品リストを用いて、商品の検品作業も行い改革前の雑誌を見ていた検品から作業の生産性が格段に向上した。自動にて出力される検品表はSKU毎に検品項目がシステムに登録されており作業者は個別の判断に迷うことなく、この表のとおりに作業すれば品質が保証されるという安心感が得られた。
標準ケースと入り数により、格納指示はシステムによりリアルタイムでなされ、同じ商品の入り数未満のケースへの積み増し、空いている間口スペースへのケース格納、空いている棚段へのケース格納など、最小粒度である棚間口毎に具体的な作業内容を記述した作業指示が行われ判断に迷わない確実な作業となった。
これにより、改革前に行われていた商品個装へのバーコードシールの貼付や返却時のバーコードシールを剥がす作業も必要なくなり、かつバーコードによるPCS 検品を行わなくとも10 万分の1前後の誤差率での作業精度を実現した。作業精度は改善前と比較して200倍以上向上させる結果をもたらし、品質と生産性を同時に向上させることに成功した好例である。
(7)お客様からの返品・販売会社様への返却
お客様からの返品は、返品理由と実際の現物の確認が必要とされ、不良の場合は商品品質に責任を持つ販売会社様へその情報をフィードバックしなければならない。この作業は品質管理的側面を持つことから、詳細かつ正確な作業が求められる工程となる。
お客様からの返品の返却にともなう場合、通販期間終了による場合、また計画したように売れずに通販期間を待たずに行われる場合などにより販売会社様に商品が返却される。返却される立場に立ち、どのように返却されたら確認、仕分けなどのその後の作業が行い易いかという観点から、複数のSKU が同梱されるバラのケースの場合にも、ケース内でSKU毎に仕分け包装を行い、カンバンを貼付し、ケース外装には商品明細表を貼付するようにした。
これらの「戻す」工程というのは、戻される立場に立ち丁寧でわかりやすい細かな心遣いがより求められる特性を持ち、それに答えるにはその特性に適した人材を配置することが必要となる。
以上プロセッシングセンターにて作り上げた主な機能と成果である。処理能力の向上、コストの低減、品質の向上など数字で表すことができる内容は上記に記載し、大きな成果を上げた。
しかし、何より大きな成果はX社通販ユニットが事業を成長させるために希望するあらゆる取り組みがタイムリーかつ安価に、そして品質に影響を与えることなく行えるようになったことであり、事業の足腰となる基盤機能を獲得できたことである。
道具やシステムを使いこなす人の能力と個々人の本来の力を引き出すための人材育成
組織体系 – 機能を主軸としたマトリックス組織
プロセスセンターに求められる機能を実現するための実行組織は、物流センターを実現する機能とは範囲と複雑性が異なるため、通常の事業収益至上主義や事業所長を頂点とするピラミッド型組織では十分な対応ができない。
機能を強化するための教育に重きを置いた、機能を主軸としたマトリックス組織が最適と考え実現している。これらは、日々の作業指示を伝達し、作業管理と収益管理など事業の観点でお客様を向いている横軸およびサービス提供に必要な能力を身につけさせ、機能の品質を高めていく社員一人一人に向いている縦軸で構成される。一人一人の教育にはこの縦軸の組織が当たる。通常の物流サービス会社は前者の横軸組織で、事業→事業所→荷主毎のピラミッド型になっている。
各機能軸(縦軸)の内容と要点
(1)オペレーション・エンジニアリング
改革・改善のための業務・システム・作業環境などの基本設計を行う。お客様の今後のビジネスの展開に必要なオペレーション戦略の立案から具体的な業務・システム(画面・帳票)設計までを行う。
(2)オペレーション・サービス運営部
52 週の中でセンター全体の区割りなどを決める百貨店目線の機能。セレクト集約店舗の店長やブランド別店舗の店長であり、各作業工程のリーダーにより構成される。
①事前準備・段取り
作業が始まっている時にはすでに勝負は決まっている。今回構築したプロセッシングセンターでは、お客様の買い物の特性に応じて店舗やバックヤード、保管機能が構築されていることで最大の生産性が発揮される。
よって、作業が始まっている時には基本的な配置が整っていなければ高い生産性は期待できないのである。仮説に基づき計画的に抜けもれなく52 週の中で現場を変化させていく計画性と精密さが求められる。
②仮説・検証、イレギュラー時の迅速な対応
仮説により準備された事前作業や段取りが、実際に行ってみると違うということが通常のこととして起こる。この時に大事なことは、そもそもすべて当たることがないという前提ですぐに変えることができる余力をあらゆるリソースで持つことである。それは時間であったり、スペースであったり、人力であったりする。
なぜ違ったのかを検証し、すぐ変えなければいけないが、しっかり「なぜ?」の検証を行わないと正しい方向性に変えられない。あせって右往左往してはいけない。冷静に判断し、適切に対処する資質が問われる。
(例:買い物頻度A 設定の売れ筋商品をセレクト集約店舗に並べたが、品切れで入荷が遅れている。結果棚が空いてしまった。代わりに何を並べるのか?)
(3)オペレーション・サービス作業部
具体的な作業手順、作業環境、道具立てを設計し、実際に試し、作業者に教育する機能。
作業をする上で、誰も間違いたくて間違うものではない。「これ合っているの?」 と不安に思いながら作業を行うのと、「この手順でやれば確実!」と自信を持ってやるのでは精神的なストレスが全然違う。
迷わない明確な指示が行えるように、作業指示はすべてシステムにより最小の粒度とリアルタイムの指示で行われるようにした。また、同じ作業を行うにも、少しでも楽に作業ができるような環境や道具、手順を考え用意してあげることも大事になる。
直接サービスを行っているのは作業そのものであり、その作業を行っている作業員の立場に立ち作業に必要な要素を整えてあげることが重要になり、その心持は作業を行っている方々に必ず通じ、組織に一体感が生まれる。
(4)オペレーション・サービス工務部、工事部
上記にあるように作業部と協業して作業環境を構築する機能である。工務部は作業道具の設計を行い、試作品を作成する。実際に使用し良ければ量産し作業現場に道具を提供する。工事部はオペレーション・エンジニアやオペレーション・サポート・システムと協業にて、作業環境やシステム基盤の構築に必要な工事を行う。
(5)オペレーション・サポート・システム
オペレーション・エンジニアが設計した内容にてシステムの詳細設計から開発・テスト・導入・運用・改修を一貫して行う。
顧客の要望にすぐ応え、かつ安価に対応するには、必要な機能はすべて自社で出来なければいけないと考えている。また必要な内容をよく知っているのは当事者である。よって当事者が作るのが一番良い。よって必要なシステム、作業道具、簡単な工事はすべて自社で行っている。そこにはビジネスの関係ではない、より良い環境を提供してあげたいという助け合いの精神が生きている。
そしてシステムや道具は主役ではない。あくまでそれを使いこなす人をサポートしているだけである。特に弊社のシステムの場合は、柔軟に作られており多様な使い方ができるようになっているために、使い方の工夫次第で生産性に大きな影響を及ぼす。
(6)カスタマー・サービス・マネジメント
お客様のビジネスの今後の展開の情報を共有し、それに対応するために必要なリソースの手配を各サービス提供機能と共有する。サービス提供の結果としての顧客満足度と収益管理を担う機能。
(7)サービス・サポート
縦軸の各機能組織が実際の仕事を行う上で必要なリソースを手配、管理する機能。
以上の7 つの機能が、有機的に協業しお客様にサービスを提供しており、この機能軸が主軸のマトリックス組織になっているのである。
キャリアに沿って体系立てた知識教育と魂に息吹を吹き込むOJT
上記7 つの機能が教育に責任を持っている。各機能が必要とされている能力を身につけるには、相当な努力が必要となり、その努力には終わりがない。教育すること、努力することが社内でも最も重要な責任である。
人材教育には、体系立てた知識教育とそれを実践で試す場が必要になる。SEAOSではSTS(SEAOS Technology School)(当時)という現場を離れての教育プログラムとそれを実践で試す就業機会を与えて計画的にキャリアを育成している。
(例、一通りの現場監督経験ののち、ブランド別店舗およびセレクト集合店舗の責任者を経て、改革・改善プロセスの設計者になる。)
魅力ある労働市場と社会の発展
リーマンショックに端を発した世界規模の景気の悪化により、多くの派遣社員が職場を奪われた。また景気が悪化する前からも、日雇い派遣の温床として多くの倉庫内作業現場が調整弁として扱われ問題にされた。これら人を人とは思わず道具のように扱う社会に未来はない。
それとは真逆の人が持つ本来の能力を引き出し、得手を伸ばし、不得手は助け合うことで最大の生産性と柔軟性を発揮する職場が成熟期にある日本の労働市場に未来と希望を与える。
多様性の人材マネジメント
今回構築したプロセスセンターは、多様な特性を持つそれぞれの機能がうまく連動すれば自動機を多用した機械的なセンターより高いパフォーマンスを発揮し、かつ変化に対応する柔軟性にも優れたものになる。しかし、その前提は各機能を担う人がその役割を全う出来るかどうかである。
労働市場における就労希望者のニーズも多様である。世帯の副次的な収入としてパートタイムでの就労を望む人、会社を定年退職して第2の人生として再就職を希望する人、子供の手が離れ主婦から一転就職を希望する人、フリーターを卒業し正社員として就職を望む人、転職先として選ぶ人、新卒新入社員等々これら多様な就労ニーズと必要とされる機能や本人の良いところとその良いところを生かせる特性をもった職場、これらをうまくマッチングさせて個々人が本来持っている能力を引き出し、得手を伸ばし、不得手は補い合い助け合うことができれば、人の能力とチーム力が最大限に発揮され1+1が3となるような効果を発揮する。仕事ありきではなく人ありきで仕事を組成していく。
働く者としての未来と希望
弊社のシステム開発の社員は、管理者以外はみな未経験の作業者の中から適性を見抜き育成していった。だから何を作れば良いかも知っている。1人の例は、誰よりも正確かつ早く梱包する作業者がいた、緻密な性格である。これはと思いシステムを教えたら非常に優秀なプログラマーになった。
運営管理者の多くはフリーターからキャリアを積み上げてなったものが多い。また、最高齢の社員は78 歳である。学歴も経験も関係ない。定年すらない。
理念への共感とやる気があればよい。得手を伸ばし、不得手を助け、教え、キャリアを積めば良い。また、作業者の中には同じことをずっとやり続けたい人もいる。これが結構いる。それでもいつも高品質で安定的かつ継続的にサービスを遂行してくれている大事な人材である。それも良い。
社会の要請とそれに答える実践的な価値
お客様が望んでいることに、すぐに実践的に答えられれば良いのである。しかし、市場が進化し、競争は激化するので、要望は常に変化していくのである。従って今やれていることだけではいけない。だからこそ教育が重要なのである。お客様が望むことができるように、一人一人の特性を見極めて、一人一人に適切な教育を行い。組織でできるように変化していかなければいけない。
これは、労働市場と働き手のギャップを埋める行為そのものである。例えばこの不景気でもシステム開発の労働市場は人手が足りない。しかし、製造業の作業現場の労働市場は人手が余っているわけである。それぞれがお客様の要望に答えられるように一人一人の社員の教育を行っていれば、これらのギャップはそんなに大きくはならなかったはずである。
ここに述べた弊社の取り組みは、単に顧客企業のロジスティクス効率やお客様満足度の向上のみならず、日本の労働市場環境の改善、ひいては社会の安定・発展に貢献できるものであると確信する。

