「建設」とは、想定外の”間違った建物”を造らないための本来あるべき全体設計である。

〜投資判断・業務設計・現場運営——3つの視点をつなぐ、これからの「建設」のかたち〜

■ この資料でわかること

  • 「建設」とは何か——経営・業務・現場を一つの空間に統合する考え方
  • その視点の分断が「間違った建物」という結果を生んでしまう構造的な原因
  • 投資判断・業務設計・現場運営、3つの視点を統合する「建設」の実践
  • 元請けとして構想から施工まで一気通貫で対応する体制がもたらす違い
  • 実際の導入事例に見る、投資対効果と労働環境の両立

■ このような方におすすめ

  • 物流拠点の新設・移転・拡張を検討している経営者・事業責任者
  • 既存拠点における業務効率化やロボット導入を検討している方
  • 人手不足や離職率の高さに悩む現場責任者
  • 建設会社やベンダーとのやり取りで「話が噛み合わない」と感じている方
  • 投資対効果に見合う施設づくりを実現したい方

はじめに:「建設」を、経営・業務・現場をつなぐ実装のハブと捉え直す

物流施設づくりにおいて「建設」は、経営の投資判断・業務設計・現場運営という異なる視点を一つの空間へと落とし込む、実装のハブです。しかし現実には、これらの視点が分断されたまま検討が進み、竣工後になって「間違った建物」だったと気づくケースが後を絶ちません。

本レポートの結論は明確です。「建設」を、指示された通りのハコを造る工程ではなく、投資・業務・環境という3つの視点を統合し「間違った建物を造らない」ための全体設計と捉え直すこと——それが、これからの物流施設づくりに求められる転換だということです。

本稿では、なぜ「間違った建物」が生まれるのかという構造的な要因を整理したうえで、3つの視点を統合する「建設」の考え方、それを実践する具体的な役割と取り組み、そして実際の導入事例までを解説します。

目次

物流施設で「間違った建物」が生まれる理由

経営・業務・現場、視点の分断が生む「間違い」

経営の投資判断、事業部の業務設計、現場の運用——どれか一つでも欠ければ、簡単に「間違い」になります。現場では、「事業変化に対応できる、無駄のない拠点・投資計画が描けない」「最新機器やロボットを導入したのに、前後工程のつなぎが噛み合わない」「過酷な作業環境で人が定着せず、現場の安定稼働ができない」といった声が数多く聞かれます。

建設業界そのものが抱える構造的課題

加えて、昨今の建設業界そのものも、慢性的な技術者・職人不足や高齢化、「2024年問題」をはじめとする労働環境の変化など、かつてない構造的な課題に直面しています。現場では「メーカー主導の過剰な全館空調設計」や、「自動化ありき」で検討が進み、本来問うべき投資対効果の検証が置き去りにされる部分最適な設備投資など、従来のやり方では解決できない限界も見え始めています。

投資・業務・環境を統合する「建設」の考え方

私たちは、この状況を「テクノロジーと現場視点による建設業のアップデート」を実現する好機だと捉えています。構想(投資判断)・業務最適化(システム・ロボット)・現場の環境改善(運用)という3つの視点を欠かさず統合すること——それが、これからの「建設」に求められる姿勢です。

物流現場が直面しているのは、「人手不足」「過酷な暑さ・寒さによる離職」「莫大な全館空調コスト」といった、経営者にとって切実な課題です。これらは、単に言われた通りの工事を請け負うだけでは解決できません。ロボティクス・システム・建築の知見を横断して持ち、多方面から現場を捉えることで初めて、「全体最適」の解決策が見えてきます。

拠点構想から業務最適化、現場の環境改善までを、「建設」がハブとなって一体でプロデュースする——それが、これからのファシリティデザインに求められる姿だと考えます。

・物流拠点再編や新倉庫への移転・構築(構想・投資最適化)

・物流施設内の業務の最適化(業務・システム・ロボティクス統合)

・物流運営の見直し・環境改善(労働環境・組織活性化)

「建設」が担う役割と具体的な取り組み

「全体最適」をプロデュースする2つの役割

「全体視点でのプラン選定」と「多様な設計・建設会社の関係者間の調整」——この2つの役割を果たすことが、「間違った建物を造らない」ために欠かせません。

・全体視点でのプラン選定:手段ありきではなく、「現場で働く人」を主役とした目的を起点に、柔軟な設計思想とロボティクスを組み合わせながら最適な手段へと落とし込み、リアルな課題を解決へと導きます。

・多様な関係者間の調整:設計・建設会社、マテハンベンダーなど、多様な関係者の間に立ち、「間違った建物を造らない」ための調整をワンストップで担います。

3つの視点による具体的な取り組み

外部から提言を行うだけでは、「間違った建物」はなくなりません。構想から施工まで一気通貫で伴走できる体制こそが、これからの「建設」に求められます。

① 物流拠点再編・新倉庫への移転構築

・事業成長と投資回収(ROI)に連動した段階的キャパシティ設計

・ピーク荷量だけに依存した過剰スペック建築投資の防止

・建設会社が建物を建てる前段階から、「間違った建物を造らない」全体構想を描く

② 物流施設内の業務の最適化

・特定単一機器の導入ではなく、ボトルネック工程の特定と全体工程設計

・業務・WMS・マテハン(ロボット)の最適組み合わせ提案から実装まで一貫支援

・前後工程のつなぎや制約条件(動線・電源容量・床強度)を意識した設備施工

③ 物流運営の見直し・環境改善

・酷暑・寒さ・身体的負荷を排除する、エリアごとに調整可能な間仕切り・局所空調施工

・期中離職をストップさせ、求職者に選ばれる安全・快適な現場環境構築

・生産性向上のための業務プロセス見直しおよびレイアウト可変改修

導入を支える体制と、実際の効果

元請け体制だからこそ実現できること

実際にこうした対応を行うには、自社が建設業許可を取得し、元請けとして構想から施工まで一気通貫で担える体制が欠かせません。「建物を造る」ことをゴールにせず、テクノロジーと建築技術を融合させて「新たな産業インフラを創る」——それが、これからの「建設」に求められる姿勢だと私たちは考えています。

導入事例に見る、投資対効果と労働環境の両立

3つの視点を統合した「建設」が、実際にどのような効果を生んでいるか。いくつかの事例をご紹介します。

・医療機器卸売業:複数拠点の統合構想において、総額約60億円の投資規模を根拠とともに可視化

・食品専門商社:ゼネコン・ビル事業主・顧客の三者間の仕様調整をリードし、投資規模とスケジュールを合意形成

・大手ドラッグストアチェーン:DC/TCの役割分担をデータに基づき再定義し、建屋要件からシステム構想までを提示

・物流事業者(10,000坪超のセンター):AMR「TUGBOT」の導入により、1日約100往復の搬送工程を無人化

・中堅製造業:全館空調をやめ、局所空調と搬送ロボットの組み合わせで投資額を約20%抑制

・物流現場の再生:職場環境への満足度を平均83.3%まで改善

これらの事例に共通するのは、投資対効果と労働環境の両立を、構想段階から一気通貫で実現している点です。

おわりに

投資対効果に見合うファシリティを造るには、構想・業務・現場という3つの視点を欠かさず統合すること、そして「本当のお困りごと」から全体を設計する姿勢が欠かせません。「安価だが場当たり的な対応」を積み重ねることは、長期的には企業にとって最大のコストとなります。

シーオス株式会社は、5つの事業を横断する知見と、元請けとして構想から施工まで一気通貫で対応できる体制を通じ、お客様の「間違った建物を造らない」施設づくりの実現を確約いたします。

シーオス株式会社 について

シーオスは、ロジスティクス分野に25年以上特化してきたソリューションカンパニーです。
「ロジスティクス」を単なる物の移動ではなく、企業価値に直結する重要領域と捉え事業を展開してまいりました。創業以来、ロジスティクス領域に特化した専門チームを擁し、現場理解と戦略立案の双方に強みを持つパートナーとして、製造・小売・ECなど数多くの企業様の課題解決に伴走しております。

戦略コンサルティングからシステム開発、WMS(倉庫管理システム)やTMS(輸配送管理システム)、RFP作成支援や第三者レビューに至るまで、システム刷新プロジェクトの上流工程を支えるフルラインアップのサービスを提供しています。さらに、自動搬送ロボットのソフトウェア開発・提供や、建設(コンストラクションマネジメント)まで、ロジスティクス領域を幅広く支援しています。

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この記事を書いた人

建設部 建設部長

ゼネコンでの現場施工管理および積算業務をはじめ、不動産会社での工事監理・品質検査、電気通信会社での通信インフラ設備管理など、多角的な建設・設備領域における豊富な実務経験を持つ。

技術的知見を活かした技術営業や新商品開発にも強みを持ち、ゼロベースからの部署立ち上げや新規サービス・プロダクトの企画開発を多数牽引。

現在は、当社の5つの主要事業を統合・相乗効果を生み出す「コンストラクションイノベーション」を推進。「物流×建設」の新たな思想を基軸に、次世代の建設・物流ソリューションの創出に取り組む。

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