社会的な労働力不足を見据えた一つのアプローチ ~自律搬送ロボット『TUGBOT2』を活用した夜間搬送作業と稼働体制の構築に向けて~

目次

はじめに 夜間操業における自動化の可能性について

現在、日本の物流・製造業界では、「2024年問題」に関連するドライバーの労働時間規制の強化や、社会的な労働力不足といった課題に直面しています。このような状況下において、深夜帯のオペレーションの維持が、今後の事業継続を考える上でのひとつの課題になりつつあると考えられます。

多くの物流センターや製造工場では、夜間シフトの人員確保が難しくなっており、それに伴う人件費の増加が経営の負担になるケースも少なくありません。本ホワイトペーパーでは、自律搬送ロボット(AMR)「TUGBOT2」の活用を通じて、夜間の搬送プロセスにおける省人化を図り、24時間稼働に近い体制を構築していくことで、こうした課題を解決するための一つの道筋について考察します。

背景・課題の分析 夜間操業における現状の課題について

24時間稼働を目指す運用体制において、夜間操業にはいくつかのハードルが生じているのが実情です。

人的資源の確保に関する課題

深夜帯の作業員確保は容易ではなく、採用活動に伴うコストも増加傾向にありま

す。人員が不足しがちな状況下では、急な欠員がオペレーションに影響を及ぼす

可能性があり、事業を安定的に継続する上での不安要素となり得ます。

業務プロセスにおける「トラック待機時間」の影響

夜間の作業に遅れが生じると、翌朝の出荷準備(荷揃え)にも影響が及ぶことが想定されます。準備が整っていない場合、早朝に到着したトラックに「荷待ち」の時間が発生してしまいます。このような待機時間はドライバーの拘束時間を長引かせ、運送パートナーへの負担や輸送コストの増加に繋がる可能性があり、「物流2024年問題」を考える上でも注視すべき点と言えます。

これらを緩和するためには、人が休息を取る夜間の時間帯において、システムやロボットが自律的に稼働して作業を補完していくような、新しい視点を取り入れることも有効な選択肢になるのではないでしょうか。

解決策のひとつ:「TUGBOT2」を活用した夜間搬送の可能性

上記のような課題に対し、ひとつのアプローチとして考えられるのが、夜間搬送作業における省人化です。日中の作業員が退勤した後も、管理者のもとでロボットが稼働を継続し、翌朝までの準備作業をサポートする仕組みとして、「TUGBOT2」を活用することができます。

TUGBOT2には、夜間の搬送作業を支える上で役立つと考えられる、以下の3つの機能的な特徴があります。

・走行速度を活かした広域への対応力 (最大時速7.2km、搬送時4.3km/h):

夜間という限られた時間の中で、広い施設内での長距離搬送をスムーズに進める上でスピードは重要な手助けとなります。

・自動連結・切り離し機能 (Auto hitching/unhitching):

カゴ車との連結および切り離しをロボット自身で行うことができます。
このプロセスから人の手を減らすことで、より無人化に近い運用を目指すことができます。

・自動充電による継続稼働のサポート:

バッテリー残量が少なくなると、自ら充電マットへ移動して充電を行います。
人手でのバッテリー交換の手間を省き、充電後は管理者の指示に従って作業に戻ることで、長時間の安定した稼働をサポートしやすくなります。

稼働に関する参考データ 24時間稼働サイクルのシミュレーション例

ロボットの導入にあたっては「充電時間が稼働効率に影響するのではないか」という懸念が浮かびます。そこで、TUGBOT2の仕様に基づいたシミュレーションの試算例を紹介します。

【TUGBOT2の電源仕様】

  • 連続稼働時間: 約6時間
  • 充電時間: 約25分 (200V電源を使用し、100%まで充電した場合)

【24時間稼働サイクルの試算例】

1サイクルを「稼働6時間 + 充電(移動含む)0.5時間」と仮定した場合の試算です。

1)1サイクルの所要時間: 6.5時間
2)24時間あたりのサイクル数: 約3.7サイクル
3)1日あたりの稼働率: 約92%

約25分という短い急速充電時間を活用することで、上記のように高い稼働率を保ちやすくなります。充電に伴う一時的な停止時間をできるだけ短く抑えることで、夜間の物流作業においても一定の安定稼働を提供します。

導入後の運用イメージ 夜間搬送作業のオペレーションフロー例

「翌朝出荷分の荷物を夜間に準備(ステージング)する」ケースを想定したフローの例を説明します。

【夕方〜夜間: 有人での準備作業】

日中の作業員の方が、ピッキングを終えたカゴ車を「仮置きエリア」に配置して業務を終了します。

【深夜: ロボットによる搬送作業】

TUGBOT2が稼働を始めます。自動連結機能(Auto hitching)でカゴ車と繋がり、時速4.3kmで出荷バースまで搬送した後、自動切り離し(Auto unhitching)を行います。必要に応じて自律的に充電も行い、充電完了後は管理者の指示に基づき作業に戻ります。

【翌朝: 出荷の開始】

朝に出勤されたドライバーの方は、すでに出荷バース前に並べられた荷物を、待機時間を取ることなく即座に積み込み始めることができるようになります。

経営面でのメリットと投資対効果について

コスト面への良い影響

夜間搬送の一部をロボットで代替することにより、深夜割増賃金を含む人件費の負担軽減に繋がる可能性があります。また、確保が難しいとされる夜間スタッフの採用にかかるコストを抑えることで、損益分岐点の引き下げといった費用構造の改善に寄与する可能性があります。

「物流2024年問題」に向けた戦略的な価値

ドライバーの「荷待ち時間ゼロ」を目指す取り組みは、輸送力が不足しがちな今後の環境において、運送パートナーにとって「働きやすい拠点」と感じてもらうための一助となります。こうした環境づくりが、協力会社との良好なパートナーシップ強化や将来的な輸送コスト交渉力の向上に直結していくものとなります。

おわりに 「夜間の時間」の有効活用に向けて

TUGBOT2を通じた夜間業務の省人化の本質は、これまで有効活用が難しかった深夜の時間帯を、翌日のための価値ある生産時間へと転換する「時間の創出」にあります。

「急速充電」や「自動脱着」といった機能により、作業員が休息している間も物流の動きを止めず、翌朝の作業開始に向けた下準備をサポートします。労働力不足が懸念される今後の社会において、ロボットを活用した24時間365日稼働できる体制を整えておくことは、事業継続計画(BCP)の面や、柔軟な現場づくりにおいて、ひとつの選択肢になり得ると確信します。

これからの現場運営のあり方として、省人化に対応した夜間搬送業務の導入についても、ぜひ今後のご参考としていただけますと幸いです。

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この記事を書いた人

ロボティクス事業部
副事業部長

キヤノン株式会社でインターネット黎明期のISP事業立ち上げに参画し、グループの通信インフラ構築を牽引。
株式会社ユビテック取締役として事業再編と新規サービス創出を主導し、JASDAQ上場に貢献。
さらに株式会社ブロードバンドタワーでIoT新規事業を推進。
事業創造を連続的に成功裏に導き、現在に至る。

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